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“中学受験”がテーマの小説2つ・感想(ネタバレなし)

中学受験の小説2つ感想
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わが家は小4の途中から、子どもの希望で塾に行くことになりました。

親は中学受験の知識がなく、まず首都圏の教育事情を知ることからスタート。

そして、ようやくなんとな〜くわかってきた感じですが、中学受験の世界は熾烈ながらも、チャレンジする価値があると感じています!

そんなあまりガチめではない親が、“中学受験”がテーマの、話題の小説2つを読んでみました。
ネタバレなしの感想です。

翼の翼

翼の翼』です。

あらすじ・内容

専業主婦、有泉円佳の息子、翼は、小学二年生で中学受験に挑戦することになる。
有名私立の中高一貫校を受験した経験のある夫真治と、それを導いた義父母。
中学受験にまったく縁のなかった円佳は、塾に、ライバルに、保護者たちに振り回され、世間の噂に、家族に、そして自分自身のプライドに絡め取られていく。
過熱する親の心情を余すところなく描いた、凄まじき家族小説。

著者:朝比奈 あすかさん

朝比奈 あすか(あさひな あすか)さんは、1976年東京生まれの小説家。
2児の母。

慶應義塾大学文学部を卒業し、慶應義塾大学メディアコミュニケーション研究所修了。
2000年、大伯母の戦争の悲劇を記録したノンフィクション『光さす故郷へ』を発表。
2006年、『憂鬱なハスビーン』で第49回群像新人文学賞を受賞し、小説家デビューしました。

朝比奈さんは、“中学受験頻出作家”とも言われています。
小学校の学級崩壊を描いた『君たちは今が世界(すべて)』は2020年度入試で、難関男子校を含む13校で出題されました。(参考:VERY
少年少女のデリケートな内面描写が巧みな作家さんです。

こちらも同じ桜丘小が舞台です↓

翼の翼』は朝比奈さん自身が二人の子どもの中学受験に寄り添った経験から生まれたとのことで、やはり設定や心情描写にすごくリアリティがあります。

金の角持つ子どもたち

金の角持つ子どもたち』です。

あらすじ・内容

「サッカーをやめて、塾に通いたい」小6になる俊介は、突然、両親にそう打ち明ける。
日本最難関と言われる中学を受験したいのだ、と。
難聴の妹・美音の小学校入学を控え、家計も厳しい中、息子の夢を応援することを両親は決意。
俊介の塾通いが始まる。
だが、彼には誰にも言えない“秘密”があって……。
人は挑むことで自分を変えることができる。未来を切り開こうと奮闘する人々を描く、感動の長編小説。

著者:藤岡陽子さん

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)さんは、1971年京都生まれの小説家。
2児の母で、看護師でもあります。

同志社大学文学部卒業。
報知新聞社を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大留学。
結婚後に転勤などがあっても困らないよう、「手に職を」と慈恵看護専門学校卒業。

「結い言」で宮本輝が選考する第40回北日本文学賞選奨を受賞。
2009年、『いつまでも白い羽根』でデビューしました。
新川優愛さん主演でドラマ化もされました。

看護師さんの小説も多く、実体験が生きています。

感想(ネタバレなし)

2つの小説を読んだネタバレなしの感想です。

感想を一言で言うと、

共通点

2つの小説を読んで感じた共通点です。

2つの小説とも、著者が二児の母ということもあってか、親の心理の描写がすばらしい
また著者二人とも高学歴の文学部卒なので、子どもに対し、教育熱心だと予測されます。

どちらも受験する主人公が、小学生男子で運動神経もよく、中学受験に力を入れるまでスポーツをしています。

二人ともやさしい性格

母が途中でパートを始め、それが子どもから離れてちょうどいい作用になっているところも共通しています。

違う点

2つの小説を読んで感じた違う点です。

中学受験を決意した年が違う

中学受験を決意した年が、低学年と高学年でだいぶ違います。

一般的に中学受験の準備スタートは「3年生の2月」と言われており、4年の差はかなり大きいです。
このことからも、親が中学受験にかける熱意の差も感じ取れます。
塾に通うには、時間もお金もかなりかかるからです。

翼くんはひとり息子であり、俊介くんは難聴の妹がいるといった家庭事情も大きいでしょう。

また、実際まっさらな状態から小学6年生から集団塾に通って猛勉強したとしても、塾のカリキュラム的にもかなり厳しいと思われます。
最難関校狙いならなおさらで、『金の角持つ子どもたち』は現実的にはちょっとズレたファンタジーに感じました。

動機が違う

中学受験をはじめた動機が違います。

翼くんは塾に通い始めるのも自分から希望した体ですが、実際には母・円佳の誘導。
円佳本人も無自覚です。
勉強するのも、親の喜ぶ顔が見たいからがモチベーションになっています。

俊介くんは6年生ということもあってしっかりしており、自らサッカーに見切りをつけ、塾に通いたいと言い出しました。
勉強するのも、自分の将来の夢のためにです。
努力家のパーフェクトヒューマンで、

こんなすばらしい子いる…?

と、ちょっと出木杉くんに感じちゃいました。

小説内の視点が違う

小説内で、中学受験の描かれる視点が違います。

翼の翼』では、中学受験にのめりこむ母の心理を詳細に描いてリアルです。
個人的には母の円佳に全く共感しなかったのですが、逆にそれも気をつけないといけないと感じました。
だれもが円佳になりうる、ということを心に留めておきたいです。
ドロドロ感でイライラや恐怖も伝わり、ドキュメンタリーを読んでいる気分になります。

金の角持つ子どもたち』は、子どもの人生だけでなく、母、父、塾の先生の人生まで幅広く扱っているので、中学受験にとどまらないスケールの大きさを感じました。
中学受験だけでなく、後の明るい未来も感じさせられます。
特に母として子育てを離れた後の思いは共感しました。
さわやかすぎて、小説的ではあります。

まとめ

どちらの小説も、同じ“中学受験”がテーマであるのに、読後感も全然違いました。
参考になる部分も多く、すごくおもしろかったです!

実際、中学受験は家庭により、それぞれのドラマがあるでしょう。
俯瞰的に見れば、中学受験なんて、その後大学受験・就職試験などもあり、長〜い人生の一角にすぎません。

それでも“中学受験”がテーマの小説にこんなに惹きつけられて、夢中で読んでしまうのは、中学受験のそれぞれかける思いがピュアだからと思いました。
ピュアゆえに、親も子も未熟さがあぶり出されます。

本人も親も、塾の先生も。
わたしも、あなたも。

熱くなる想いがあるのって幸せなことですね♪

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